おはようございました。アラレです。 5年ほど前に自動車部品メーカーから自動車メーカー(以下OEM)に転職してきました。 そして「自動車カレンダー」という沼にハマりました。
あれはもう、日本の祝日文化に真っ向からケンカを売るレベルの特殊カレンダー。
今回は、そんな“祝日ゼロ文化”に変化の兆しが見えてきた話をしたいと思います。
自動車カレンダーって何者?
知らない人のために説明すると、
自動車メーカーにはそれぞれ独自の勤務カレンダーがあります。
俗にいう「自動車カレンダー」。
一般企業が国民の祝日カレンダーで動くのに対し、
自動車業界は「生産都合」を最優先に稼働日を決めています。
自動車メーカーで祝日がない?『トヨタカレンダー』制度の実態と文系社員の本音 – 文系が自動車メーカーに転職して苦労するブログ
「祝日?あぁ、あの…他社が休む日ね。」
そう。世間が三連休で旅行に行っているとき、
我々は元気に出勤しているのです。
そのかわり、GW・お盆・年末年始はドカッと大型連休。
「祝日を犠牲に長期休暇を得る」――それが自動車カレンダーの哲学です。
⚙️自動車業界で“休みを増やす”動きが出てきた
最近、業界内で注目されているのが、
年間休日の見直し(増加)に向けた議論です。
部品会社がならうトヨタカレンダー 労組、休日増へ議論 – 日本経済新聞
ある主要メーカーの労組が「休日を増やす方向で検討を開始」と報じられ、
現場関係者の間では「ついにこの時代が来たか…!」とざわついています。
「え、あの“祝日は幻想”って言い続けてきた業界が?」
そうです。
これまで「休みを増やすなんて生産性が下がる!」と一蹴されてきたテーマが、
ようやく真剣に議論され始めたんです。
なぜ見直しの動きが出てきたのか?
背景にはいくつかの理由があります。
ざっくり言うとこの3つ👇
① 他業界との差が広がりすぎた
IT・商社・金融などでは、年間休日120日以上が当たり前。
一方で自動車業界は110日前後。
「給料はいいけど、休みが少ない」
これが若手からのリアルな声です。
② 働き方改革と生産の自動化
ラインのデジタル化・ロボット化が進み、
**“人が張りつかなくても回る仕組み”**が整ってきました。
つまり、“休める余地”が生まれつつあるのです。
③ 採用難への危機感
「若手が製造業を選ばない」問題は深刻です。
カレンダーを改善しないと、優秀な人が来ない。
そんな危機感が業界全体に広がっています。
OEM社員あるある:「祝日あるのに休めない症候群」
「カレンダーの赤字(祝日)は、俺たちにとって“飾り”だから。」
そう、祝日が存在しても我々の世界では“無効日”です。
| 祝日 | 状況 |
|---|---|
| 成人の日 | 通常出勤 |
| 体育の日 | 全力稼働 |
| 勤労感謝の日 | 勤労して感謝される側 |
「祝日がない」のではなく、
祝日を感じる心がなくなるんですよね(笑)
家族から「パパ、今日みんな休みだよ」と言われても、
「うん、パパだけ別の時空で働いてるんだ」って説明するあの切なさ。
OEM社員なら一度は経験あるはず。
それでも効率化が進めば“休める”未来はある
ここ数年で、現場の自動化・システム化が一気に進みました。
AIやIoTの導入で、従来のように“人がいないと止まるライン”が減ってきています。
つまり、
「もう少し休みを増やしても回るかもしれない」
という現実的な議論ができるようになってきたんです。
業界としても「祝日ゼロ」を誇る時代ではなくなりつつあります。
年間休日を比べてみよう
| 企業タイプ | 年間休日数 | 備考 |
|---|---|---|
| 自動車メーカー(完成車) | 約115〜120日 | 祝日ゼロ、連休集中型 |
| 部品メーカー | 約110〜118日 | OEMに準拠 |
| 一般メーカー | 約120〜125日 | 土日+祝日休み |
| IT・商社系 | 約125〜130日 | 完全週休2日+祝日フル反映 |
数字だけ見ると近いようで、
祝日が“全カット”されてる分、体感的にはかなり違う。
だって、周りが三連休で温泉行ってるのに、
こっちは工場の照明の下で汗かいてるんですから。
そりゃ体感120日vs110日でも「人生が違う」感じになります。
「休みがない」のではなく「休めない仕組み」
正直、現場目線で言うと、
“休みがない”よりも“休める仕組みがない”のが問題です。
誰かが休むと誰かの負担が増える。
その結果、有給も取りづらい。
「有給って…都市伝説だと思ってた時期がありました」
でも、今回のような「カレンダー全体の見直し」は、
仕組みから変えるチャンス。
もしこれが実現すれば、有給の取りやすさも自然と変わってくるはずです。
アメリカ駐在で感じた「休む文化」の強さ
今、私はアメリカ南部で働いていますが、
こっちの人たちは**「家族の時間>仕事」**がデフォルトです。
金曜午後に「今日は子どものサッカーだから帰るね」と言っても、
上司が「Enjoy!」と笑顔で送り出します。
日本でそれ言ったら、
「お前のサッカーよりラインが大事だ」って言われかねません(笑)
でも、実際に海外の工場は週4勤務やフレックス制も多く、
「働く時間を減らしても成果を出す仕組み」があるんです。
日本の製造業もようやくその流れに追いつきつつあります。
アラレ的「理想の自動車カレンダー」
私の理想は、「祝日少なめ+隔週3連休」スタイルです。
週4.5勤務で週末にリセットできる余白があれば、
心にも余裕が生まれ、生産性も上がるはず。
- 週末の余白が増える
- 家族時間が取れる
- 有給を“罪悪感なく取れる”
これが実現したら、
OEM社員も「祝日がない」と嘆かなくて済むかもしれません。
業界全体の動き=社会実験
自動車業界の“カレンダー見直し”は、
単なる休日調整の話ではありません。
日本の製造業がどう「働く」を再設計するかという社会実験です。
主要メーカーが休みを増やせば、
部品メーカー、物流、協力会社へとドミノ的に広がります。
それが“カレンダードミノ現象”。
これは、業界全体の働き方改革のスタートラインです。
アラレのひとこと
「祝日はないけど、希望はある。」
そんな時代がやっと来た気がします。
自動車業界は長らく「働く」ことに誇りを持ってきました。
でも、これからは「休む」ことにも誇りを持てる時代になるはず。



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