おはようございました。あられです。部品メーカーやら自動車メーカーやらを経験してもう自動車関係に10年以上勤めていることになります。
工場で働いていると、突然くるやつがある。
そう。
「来期、うちの部で改善発表会やりまーす」
この一言で、現場の空気がスッ…と凍る。
いや本当に。
ラインの音より静かになる。
改善は大事。
必要なのもわかる。
でも心の奥ではこう思ってません?
「いや、この改善…誰が得するん?」
今回は、工場でずっとモヤモヤしていたこのテーマを、
なるべく肩の力を抜いて話していきたい。
「改善ってしんどいよな…」という仲間に届け。
ちなみに以前書いたカイゼンアレルギーについてはこちら
■1|改善って“正しい”のに、なんでこんなにしんどいの?
理屈ではわかるんですよ。
- 無駄を減らす
- 作業が楽になる
- 品質が上がる
- 生産性が上がる
全部正しい。
正しすぎて反論できない。
でも現場にいると、改善ってこう見えたりしません?
- 「改善報告書を増やすための改善」が多い
- とりあえず毎月3件は出さないといけない
- 報告会が“宗教行事”みたいに厳粛
- 誰が喜んでるのか分からない
何よりも思うのはこれ。
「改善した人が得してない」
改善した人ほど、残業が増えてるという矛盾。
■2|改善で一番得しているのは誰なのか?
ではいよいよ核心いきます。
改善活動で一番オイシイ思いをしているのは誰か?
現場のあなたではありません。
答えはこちら。
✔(1)管理職
✔(2)改善の旗振り役の人たち
✔(3)会社(経営)
逆に、
一番損してるのは現場のあなた。
世の中、理不尽。
ちょっと深掘りします。
■(1)管理職が得する理由
改善の成果って、評価されるのはだいたい管理職。
- 生産性が上がりました
- 不良率が下がりました
- サイクルタイム1秒短縮できました
こういう報告、上にめちゃくちゃ刺さります。
で、刺さった成果は誰の評価になるかというと…
管理職です。
その裏にある現場の涙?
「おつかれ!」の一言で終了です。
■(2)改善推進の人は“存在価値”が生まれる
工場には改善の旗振り役がいる。
- 生技
- IE
- 品質
- 現場改善チーム
彼らにとって改善は 自分のKPIそのもの。
改善が盛り上がれば、存在価値が上がる。
だからとにかく改善を“出してほしい”。
- 月3件
- 5W1H
- Before / After
- コスト効果の算出
- 写真をもっと入れて
いや資料だけ増えるやん。
■(3)最終的にいちばん得するのは会社
改善が成功すれば、会社は得をする。
これは本当にそう。
- コストダウン
- 生産性向上
- 品質安定
- 品質保証コスト減
ただね、
現場の給料が劇的に上がるわけでもない。
ボーナスが爆増するわけでもない。
早く帰れるわけでもない。
会社が潤い、現場だけが疲弊するという斜陽構造。
■3|改善が“地獄化”する理由
改善が嫌われる理由は、ほんとシンプル。
✔ 負担は現場
✔ 手柄は上
✔ 利益は会社
この三連コンボ。
そりゃ嫌になりますよね。
自動車メーカーあるあるで例えると……
- 「改善ネタ探しのために現場に立ちっぱなし」
- 「サイクル1秒短縮のために3日かける」
- 「いつの間にか資料の作り込みがメインイベント」
- 「改善発表会で失敗は許されない空気」
- 「改善しても現場が楽にならない」
改善の本来の目的がどっかに消えちゃう。
■4|じゃあ改善活動は全部ムダなのか?
いいえ。
改善そのものは本当に価値があります。
本来の改善は、
- 現場が楽になる
- ムダが減る
- 安全性が上がる
- 作業が安定する
こういう“現場メリット”が中心。
ただ、現実はこう。
改善することが目的になってしまっている。
改善で疲れるのはあなたのせいではなく、
構造がそうなってるだけ。
■5|“本当にいい改善”の共通点
僕が見てきた“本物の改善”はこういうもの。
✔(1)現場の負担が確実に減る
- 歩数が減る
- 作業が軽くなる
- 工具が使いやすい
- 腰が痛くなくなる
現場の「助かった!」がある改善は強い。
✔(2)主語が「会社」じゃなく「現場」
「作業者が楽になるからやる」
この視点を持つ改善は成功率が高い。
✔(3)改善担当者が現場に常にいる
机上改善は99%失敗する。
毎日現場に行く人の改善は、不思議とよく当たる。
✔(4)見せかけの数字ではなく本質を見る
サイクルタイム1秒より、
工具の高さ5cmのほうが効くことがある。
本当に効く改善は、数字より現場が証明してくれる。
■6|改善に疲れた人が進む“次のキャリア”
この記事を読んでいる人はたぶん、
「改善しんどい…」
「改善以外の仕事がしたい」
と思ってるはず。
そんなあなたに言いたい。
✔ 改善が苦手でも活躍できる部署はいくらでもある。
ほんとに。
- 生産管理
- 物流
- 調達
- 品質保証
- 営業
- 経営企画
- DX・IT
- 海外拠点サポート
- 設計管理
改善に疲れた人ほど、部署異動すると伸びたりする。
改善活動が苦手=不適合
ではなく、
改善活動が苦手=向いてないだけ。
向いてる道に行けば、評価は一気に変わる。
■7|まとめ:改善は“誰のためか”で価値が変わる
改善は正しい。
でも、現場のあなたが疲れる改善は、正しくない。
改善の目的は
「現場を楽にすること」 のはず。
それが
「現場を苦しめる儀式」
になった瞬間、改善はもう改善ではない。
改善に疲れたら、逃げてもいい。
他部署もあるし、転職もある。
あなたの人生は「改善発表会」のためにあるわけじゃない。
無理に改善マンになる必要はない。
あなたには、もっと別の道がある。
ちなみに自動車メーカーでのカイゼンはまだましです。
理にかなっていることが多いです。
どんな業界か気になる方はこちら





コメント