おはようございました。アラレです。
文系大卒 → 独立系の弱小(当社比)部品メーカー → 自動車メーカー(以下OEM)に転職して、気づけば5年。
「転職してよかった?」と聞かれたら、そりゃ良かった面もあります。お金とか、将来の選択肢とか。そこはちゃんと実利があります。
ただ一方で、今でもふいに思うんです。
「俺、これ…向いてないかも」
今日はそんな話。
安心してください、辞める話じゃないです。
向いてないのに生き残ってる話です。ぎりぎりですが生き残れています。
向いてない瞬間①:何とかなると思って放置してしまう
自動車メーカーに転職する間からあった問題ではありますが、わたしのには良くない癖があります。
“ヤバそうだけど、とりあえず置いとく” という癖。
部品メーカー時代、これがまあまあ成立してたんですよね。
理由はシンプルで、
- 小さな火種は、自然鎮火することが多い
- もしくは「誰かが気合で消す」文化がある
- そして最後に「まあいっか」で閉じる
つまり、放置してもだいたい何とかなってた。
で、その感覚のままOEMに来るとどうなるか。
結論:放置してもだいたい何とかなります。
はい。
ここだけ切り取ると「向いてる」まである。
でもOEMの怖さはそこじゃない。
問題は、放置してる間に
“誰かに見つかる” こと。
OEMには監視カメラみたいな仕組みが大量にあります。
監視カメラというか、監視人間というか。
いや、正確には「監視」じゃなくて「健全な管理」なんだけど、受け手のメンタルによっては監視に感じるやつ。
- 進捗管理
- KPI
- 定例会
- CCに入ってくる関係者の数
- “念のため”という名の網の目
放置案件って、だいたいこういうルートで発見されます。
そして言われる。
「これ、どうなってる?」
この一言、短いのに胃を殴ってくる。
パンチというより、鈍器。あーやっぱり見つかってしまったかと思う。
そりゃそうだ、基本自分よりも優秀な人しかいないんだもの。見つからないわけがない。
で、慌てて対応して、結局何とかなる。
何とかなるのに、怒られる。
何とかなるのに、会議で赤文字になる。
何とかなるのに、Slack(もしくはTeams)の通知が止まらない。
ここで僕は思うんです。
「結局なんとかなるんだから、いいじゃんね」
…って口に出したら多分、僕の席が工場の外に移動します。
だから心の中で唱えてます。お守りみたいに。
OEMでの正解はきっと
- 何とかなる前に「見える化」する
- 放置するなら「放置してます宣言」をする(勇気)
- 早めに「相談」のフリをして巻き込む
なのにわたしは、放置の才能だけ伸びていく。
伸ばしたくない才能ランキング上位です。
向いてない瞬間②:新しいITを覚えられない
これ、ほんと無理。
無理というか、無理の種類が多い。
OEMって、ITが増殖します。
- Power BI
- Access?
- なんか独自システム(略称が三文字)
- BIツール
- 共有フォルダの奥底に眠るマクロ
- いつの間にか追加されてる権限申請
毎年「今年はこれを使います!」が来る。
まるで季節の変わり目。
部品メーカー時代は、こうでした。
Excelができる = 戦力
これ、めちゃくちゃ平和。
世界が優しい。
SUMとVLOOKUPで殴り合えば、だいたい勝てる。
ところがOEMは、Excelだけだと途中からこうなる。
「Excelは入口ですね」
入口って何。
入口ってことは建物の中に入らなきゃいけないじゃん。
僕、玄関マットの上でずっと靴そろえてたいタイプなんだけど。
そして来る、例の単語。
Python
パイソン。
蛇。
もう名前が怖い。
「Python使えたら業務効率化できますよ」
って言われるたびに思う。
- それは分かる
- でも僕の脳は今、Power IVで満員電車
- そこに蛇を乗せないでほしい
しかも厄介なのが、別に誰も意地悪で言ってないこと。
むしろ優しさ。善意。改善。未来。
だからこそつらい。
つらいけど、笑ってしまう。
「分かりました!検討します!」
と爽やかに返しつつ、心の中では
(検討するだけで今日が終わる)
という現実が鳴ってる。
OEMで生き残るにはきっと
- 全部覚えない
- “よく使う2割”だけ押さえる
- できる人に土下座ではなく、仲良くする
- 自分は「翻訳者」になる(現場とITの間)
この割り切りが大事なんだけど、僕は割り切る前に疲れる。
疲れて放置する。
そして①に戻る。円環。
向いてない瞬間③:縦割りすぎて、完成車につながってる気がしない
OEMに来る前、僕は勝手に想像してました。
- もっと現場に行って
- もっと車を触って
- もっと「俺が作ってる!」感がある
現実はどうか。
縦割り。縦割り。縦割り。
もちろん合理性はあります。
巨大組織は縦割りじゃないと回らない。
全員が全部見ると、全員が全部中途半端になる。
分かってる。頭では。
でも、心がこう言う。
「俺の仕事、完成車に繋がってる気がしない」
自分の担当範囲が、あまりにも細い。
しかもその細さが、誇張じゃなくて本当に細い。
例えるなら
- 車という“巨大なパズル”の
- さらにそのピースの
- 端っこの色味調整みたいな仕事
いや、色味調整だって大事なんですよ。
大事なんだけど、完成車が見えないと、やりがいは霧になる。
しかもそもそも、そんなに現場に行かない。
行く人は行くけど、職種と役割によって差が出る。
僕みたいなタイプは「PCの前の住民」になりやすい。
で、ふとSNSで見るんです。
「新型車の現場立ち会い!」
とか。
「量産立上げで工場泊!」
とか。
うらやましい半分、怖い半分。
自分は現場に行ったら行ったで、たぶん迷子になります。
ヘルメットの被り方で怒られる自信がある。
だからせめて、完成車への接続感を取り戻すために
- たまにラインを見に行く
- “自分の作業がどこに効くか”を言語化する
- 現場の人と雑談する
こういう「接続作業」が必要なんだと思う。
でも忙しいと、後回しにしがち。
そして①に戻る。円環その2。
向いてない瞬間④:同期がいない(これは半分、自分のせい)
これ、地味に効きます。
OEMって、新卒が大量に入ってきます。
同期の数が異常。
飲み会の幹事が大変そうなレベルで異常。
同期が多いと何がいいか。
- 困ったときに「聞ける人」が他部署にもいる
- 情報が回ってくる
- ちょっとした愚痴を吐ける
- 「自分だけじゃない」が成立する
これが中途には、基本ない。
ないというか、作りに行かないとできない。
そして僕はコミュ力が、すごく高いわけでもない。
人と話すのは嫌いじゃないけど、初動が遅い。
だから中途って、ふとした瞬間に疎外感が出ます。
- 何となく会話の前提が共有されてる
- 社内用語が通じてる
- “あの時の〇〇”がみんなの共通体験
そこにポンと入ると、自分だけ字幕がない映画を見てる感じになる。
もちろん周りは優しい。
でも優しさって、こちらが踏み込まないと届かないこともある。
で、さらに思う。
「新卒の仕事は大事にしたほうがいい」
これは、今の自分への戒めでもあり、過去の自分への伝言でもある。
新卒で入った会社に一生いろ、って話じゃない。
転職は全然アリ。僕もしてる。
ただ、
- 最初の職場でできる「同期資産」
- 最初の職場で身につく「土台」
- 最初の職場で学べる「自分の向き不向き」
これらは、転職してからも地味に効いてくる。
中途は自由だけど、孤独もセットで付いてくる。
福袋みたいに。
それでも、向いてないまま5年やってこれた理由
ここまで読むと、「じゃあ辞めれば?」ってなりますよね。
たしかに。
でもわたしが辞めてない理由は、すごく現実的。
- 生活がある
- 家族がいる
- 給料は上がった
- 選択肢は増えた
- 何だかんだ、仕事は回ってる
そして何より。
向いてないって思う瞬間がある = 向いてないと決めたわけじゃない
向いてない部分は、工夫でカバーできることもある。
慣れで鈍感になれることもある。
そして、向いてる部分も必ずある。
わたしの場合はたぶん
- 調整役
- 事実を集める
- それっぽくまとめる
- “まあまあの解”を早く出す
こういう「生き残りスキル」で、何とかやってる。
つまり今日の結論はこれ。
向いてないと思っても、案外なんとかなる。
ただし、放置してると誰かに見つかって怒られる。
でも結局なんとかなるんだから、いいじゃんね(心の声)。
おわりに:新卒の仕事は、大事にしたほうがいい
最後にもう一回。
新卒の会社選び年毎は大事にしたほうがいい。
理由はすべての土台になるからです。
転職してステップアップするにもここが土台になります。
大企業からの転職とベンチャーからの転職じゃ難易度がことなります。
新卒での仕事もすごく大事です。理由は上記と同じ。アピールする土台になるから。
大した仕事をしていなくても積み上げって大事です。
ただ、もしあなたが今
- 転職してみたい
- 自動車メーカーに行ってみたい
- でも不安
って思ってるなら、言いたい。
向いてない瞬間は絶対あるけど待遇をあげたいなら絶対アリ。
だって生活は豊かになるから。





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