おはようございました。あられです。
文系出身で、現在は自動車メーカー(OEM)にいます。最初に体感を言います。
新卒で入社する場合、理系の就職偏差値が60なら、文系は65–70くらい必要——これが私の実感です。
ちなみに私も文系です。基礎スペックは低いので転職でもぐりこみました。
自動車メーカーの文系職ってどんなもんか現役社員が説明転職【チャンスあり】 – 文系が自動車メーカーに転職して苦労するブログ
なぜそんな差が出るのか。理由はシンプルで、①椅子が少ない(事務系は枠が細切れ)②理系も同じ椅子に座れる(調達・生産企画など)③学歴で一次フィルターが強め、の三つ。ここに英語やIT、場合によっては体育会のやり切り実績まで求められる。さらに見落としがちなのが**“地元力”**です。
自動車メーカーは地方立地が多く、定着性は企業の死活問題。同じ能力なら地元・近隣出身を優先、正直それくらい“離職理由:僻地”は重い。だからこそ学歴+英語orIT+地元力の三点セットで「会う理由」を明確に作る必要があります。
今回は新卒就活に絞って、
- 学歴フィルターがなぜ強く見えるのか
- いま最重要の**IT(VBA/Access/Power Query/Python)**がどの場面で効くか
- 英語・体育会が“通用する証明”になる理由
- そして地元力をどうやって“作る”のか
を、現場の視点で丁寧に解きほぐします。終盤には具体的な準備チェックリストも置きました。
なお、文系が入ってから“どこで勝つか”の王道は生産管理です。上流(販売)と下流(工場・物流)を“納期”で束ねる司令塔。転職での潰しも効きます♡
1. なぜ文系のほうが難しく感じるのか
1-1. 椅子の数が違う
- 自動車メーカーの採用の“量”は大きいものの、技術系の椅子が圧倒的に多い。
- 事務系(いわゆる文系枠)は、調達・物流・生産管理・営業企画・コーポレートなどに分散。職種別の枠が細切れで、倍率が高くなりやすい。
1-2. 事務系は理系も応募できる
- 事務系の一部(調達・生産企画・品質企画など)は、理系出身者も普通に入ってくる。
- つまり、文系だけの競争ではない。ここが“65~70”に感じる最大の理由。
2. 絶対に外せない一次関門:学歴(足切り)
2-1. 新卒は“書類の山”をどう裁くか
- エントリー数が膨大なため、**一次スクリーニング(学歴・成績)**が機械的にかかりやすい。
- 学歴=能力ではありませんが、「まず会う候補」を圧縮するための実務的なフィルターとして機能します。
2-2. レンジ感の目安(体感)
- 上位OEMや大手サプライヤーの文系事務系は、いわゆる難関・上位大学の通過率が高い印象。
- 「某上位OEMの文系は“最低でも関関同立クラス”が多い」というOB談もしばしば耳にします(もちろん例外あり、公式な基準ではありません)。
ここは感情論ではなく、現実への対応が重要。学歴で不利と感じるなら、後述の戦い方の選択と**差別化(英語・IT・地元)**に全振りするのが王道。
3. 学歴に“加点”する3つの武器
3-1. 英語力(グローバル部署の“通行証”)
- 目安:TOEIC700~800で一次面談の会話に困らないレベル。
- 単なるスコアより、**「英語で議事録が書ける」**が強い。
- 海外仕入先・販売会社・海外工場と日常的にやり取りがあります。文系×英語は分かりやすい価値。
3-2. IT・データ力(ここ数年の“最重要”)
- 実務ではExcel(関数・ピボット・Power Query)/Access(クエリ)/簡単なSQLが威力を発揮。
- さらにVBA、Pythonでの自動化やデータ整形ができると、一人で仕事が二人分進む。
- 現場の正直な本音:「Excel地獄を救ってくれる人は神」。最短で効く差別化です。
3-3. 体育会系・チーム実績(“動かす力”の証明)
- 工場・物流・購買・販売支援…関係者を巻き込む仕事が多い。
- 体育会系の継続実績は、やり切り・上下関係・チーム貢献の証明として刺さりやすい。
- 体育会でなくても、長期プロジェクトや学生団体での成果を数字で語るのがポイント。
4. そして侮れない“地元力”
4-1. 僻地リスクと定着性
- 自動車メーカーの多くは地方立地。住環境のギャップが離職要因になりやすいのは事実。
- そこで企業は、「その土地に根付きやすい人」を好む傾向がある(地元出身/近隣大学/土地勘)。
- 能力が同じなら地元を取る、というのは現場体感として珍しくありません。
4-2. 地元力を“作る”方法
- 研究テーマ/卒論/ゼミ・団体活動を土地の産業・交通・地域課題に絡める。
- 工場見学・OB訪問を繰り返し、「この地域に寄り添える理由」を言語化しておく。
- 赴任への家族・生活シミュレーションまで準備(住居・車・免許・通勤・天候)。
5. 文系の“勝てる”入り口とNG動作
5-1. 勝てる入り口
- 調達(購買):英語+数字の腹落ち力。原価・QCDを論理で削る。
- 物流:段取り・最適化。Excel/Accessで在庫・リードタイムを見える化。
- 生産管理:販売~工場~物流を**“納期”で束ねる司令塔**。ITと現地現物の両輪。
- 営業企画:市場データを資料で通す力。価格・台数・施策をロジックで設計。
5-2. NG動作
- ガクチカが“努力しました”で終わる:必ず数値化(台数/在庫/コスト/時間短縮)。
- 一般論だけの志望動機:「車が好き」だけだと弱い。職種×自分の強みに落とす。
- 英語“だけ”の高スコア:使える想定がないと刺さらない。英語での行動実績を添える。
- ITを“勉強中”と言うだけ:作品(Excelマクロ・Pythonスクリプト・Power Queryの手順書)を持参。
6. 文系向け・選考のロードマップ(新卒)
6-1. 時系列
- 2~3年生の夏:インターン(早期選考ルートの布石)
- 秋~冬:OB訪問/テーマ作成(数字で語る材料を集める)
- 3年の冬~4年春:本選考(ES→Web→面接)
- 面接:
- ①現状把握→課題定義→施策→成果→学び(職務型の思考)
- ②配属地・働き方の耐性(地元力)
- ③英語 or ITを“仕事で使う想定”で語れるか
6-2. 書類・面接の“型”
- ES:結論→根拠→数字→再現性(次も同じ結果を出せる理由)
- 面接:要約→事例→数字→相手メリット(あなたを採るとどんな“得”がある?)
7. 大企業一本狙いより“勝ち筋の層”を作る
- 完成車(OEM)/大手Tier1/優良地場Tier2の3層で戦うと勝率が上がる。
- 一次・二次請けは業務が深く、若手にも裁量が回りやすい。
- 地方上場・黒字・海外比率などの指標で、伸びる中堅を見つけるのがコツ。
8. 隠れたキラースキル:Power Query/Access/Python
- 「Excelは得意です」と言う学生は多い。差が付くのは**“重い実データをどう掃除して整えるか”**。
- Power Queryで週次CSVを自動整形 → ピボットで指標更新 → PowerPointに貼るだけの導線を作る。
- Accessで簡単DBを組み、クエリで抽出→レポート自動化。
- Pythonで差分検知・異常値アラートが出せると、現場は確実に驚く。
- これらをGitHubやスライドにして、**“自分が入ると翌日から便利になる”**を見せる。
9. それでも学歴の壁が高い?――戦略の切り替え
- ルートA:上位OEMにこだわる → 学歴×英語×IT×地元でフル装備。
- ルートB:大手Tier1・優良地場へ軸足 → 若手で成果をつくり、数年後にOEMへ転籍(実績で殴る)。
- ルートC:IT×製造寄りの職種(SCM/データアナリティクス)で側面突破。
10. まとめ:文系の難易度“65~70”を超える方法
- 学歴の足切りは新卒ではリアル。ここは受け止めて戦略を変える。
- **英語 or IT(できれば両方)で“即戦力の香り”**を出す。
- 地元力を用意して、配属耐性・定着性を示す。
- 数字で語る。台数/在庫/コスト/時間短縮――指標に変換して話す。
- 層で受ける(OEM・Tier1・地場優良)。最短ルートだけが正解じゃない。
だらだらと書きましたが、文系だと就職が困難というわけではありません。部品メーカーで5年くらい実務をこなせば割と簡単に自動車メーカーに転職できます!
けどそんなまどろっこしいことしたくない、且つスペック高めの人は新卒で自動車メーカーを狙うのが良いと思います!



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