おはようございました。アラレです。自動車メーカーに転職してはや5年が経ちます。
今日はちょっと趣向を変えまして部品メーカー→OEM→海外駐在の私が、「自動車メーカーは従業員が多い=駐在は狭き門」という通説を、いただいた駐在者数ランキング表と現場目線でひっくり返します。
海外駐在に選ばれるまでの記事はこちら
文系が自動車メーカーで海外駐在に選ばれるまでの道のり – 文系が自動車メーカーに転職して苦労するブログ
ランキング表ってのはこちらね。皆さん見たことあると思います。
出展 東洋経済オンライン「海外勤務者が多い」トップ200社ランキング メーカー、商社…海外で働ける企業はここだ | 就職四季報プラスワン | 東洋経済オンライン

結論から言うと――
駐在の間口は想像より広い。特に“間接部門”は狙い目。
なぜそう言えるのか。**数(駐在“人数”)と構造(母集団の中身)**の両面から説明します。
ランキングを見ると「自動車」がずらり:“席”は本当に多い
自動車メーカー/サプライヤーの絶対数がデカい
手元の表では、トヨタ自動車が約2,450人規模の駐在者で上位。
ほかにもデンソー(約1,500人)/日産(約1,250人)/本田技研(約1,200人)と、完成車×主要サプライヤーが軒並みトップ50入りしています。さらにアイシン、豊田通商、ブリヂストン、いすゞ、矢崎など、自動車関連がズラッと並ぶ。
ポイント1: 自動車産業は「海外で作り/売り/調達する」が前提。
⇒ 海外側の“席”(駐在ポスト)がそもそも多い。
業種横断で見ても“常連感”
商社・電機・化学など海外展開が厚い業種の中に、自動車勢が安定的にランクイン。
駐在人数の絶対値でここまで存在感があるのは、拠点が多く、仕事が“日々”動いているからです。
それでも“狭き門”に見える理由=「分母の取り方」が間違っている
連結従業員には“現業・ローカル”が大量に含まれる
ランキングの右列にある従業員数(連結)は、工場の現業(ライン)・販売会社・海外グループのローカル雇用まで含む巨大な数字。
一方で、駐在のコア候補は基本的に
- 本社~主要拠点の間接部門(生産管理/SCM、調達、品質、経理、人事、法務、IT、企画、営業など)
- +一部の技術系(設計・生産技術・品質技術等)
ポイント2: 「約○十万人の中から選ばれる」ではなく、実際の候補母集団は“数万人規模”に縮む。
さらにその中で**「海外NG」や「任せづらい人」**が除かれていく。
“比率”で勝負すると錯覚する罠
商社のように総合職比率が高い会社は、(駐在者数/従業員数)比率が上がりやすい。一方、自動車は現業を多く抱えるため比率が下がって見える。
でも、あなたが争うのは“本社・主要拠点の候補群”の中。
**絶対数の多さとローテーション(任期3~5年の入れ替え)**で、“順番”が回ってくる構造です。
「間接部門」にチャンスが集まる仕組み
海外拠点の“運営”は人手仕事
現地の生産・販売・品質・財務・労務を日本本社の基準へつなぎ直すのは、文系・間接の仕事が中心。
- 生産管理/SCM:需給調整、在庫・船積み、停止回避
- 調達:現地サプライヤーと交渉、単価・品質・納期
- 品質保証:市場品質/工程是正、レポーティング標準化
- 管理系(経理・人事・法務・総務・IT):決算・税務・制度・労務・基幹システム
- 営業/企画:ローカル需要・商品計画・KPI設計
ポイント3: “翻訳・整流・標準化”はAI化しにくい。人が現地に入って回す必要がある。
だから間接部門の駐在ポストが恒常的に存在する。
技術エースだけでは回らない
もちろん技術派遣は重要。ただ、日々の運営は止めない・合わせる・報告するの連続。
**「安定運転できる間接の駐在」**がいないと現場は回りません。
簡易モデルで“実際の見え方”を疑似体験
※会社差はあります。構造理解のための概念モデルです。
- 連結従業員:数十万人規模
- 駐在コア母集団(本社・主要拠点の間接+一部技術):数万人規模
- 海外側の常設ポジション:数千枠
- 駐在任期:3~5年 ⇒ 毎年、相当数の入れ替えが発生
- 候補群には海外NG・評価不安定も一定比率で存在
結果:
- 「海外OK/30代前半/安定稼働タイプ」に、思ったより順番が回る。
- 「従業員が多い=狭き門」は、分母の誤読による錯覚。
ランキング表から読み解く“3つの確信”
- 席は本当に多い
トヨタ約2,450人、デンソー約1,500人、日産約1,250人、本田技研約1,200人……絶対値がケタ違い。
完成車も一次サプライヤーもトップ50の常連=**駐在という制度が“常設”**である業界。 - 自動車=現場がデカい→比率で損して見えるだけ
現業・ローカルを多く抱えるため、従業員比率では低めに映る。
でもあなたが入るプールは**“本社・主要拠点の候補群”。そこでのローテ+欠員+増員**の組み合わせが、現実のチャンス。 - 間接は“不可欠”
「標準×ローカル」を橋渡しする役割は人の領域。
文系・間接が駐在の前線で活躍するのは、この業界の構造的必然。
どうやって“順番”を引き寄せるか
① 海外NGと言わない(超重要)
一次スクリーニングは意思表示。
面談で大仰に言うより、雑談で自然に。「機会があれば挑戦したいです」だけで十分、上司の“脳内候補リスト”に残る。
② 30代前半までに“安定運転”の信用を積む
派手な結果より止めない運転が最重要。
- 納期のリカバリ
- 部署横断の巻き込み
- トラブル時の落ち着き
この3点セットで任せやすさをつくる。
③ 人選フェーズを読む
任期3~5年の帰任前に動く。帰任の噂が出たら「行けます」サインを軽く出す。
④ 職務を“海外語彙”で棚卸し
SCM/KPI/是正/標準化/移管/監査(SOX)など、海外運営の言葉に置き換えておくと、人事・部門長が現地での即戦力像を描きやすい。
この辺も別記事でまとめてますのでよかったらどうぞ!
自動車メーカーで海外駐在に選ばれる人の特徴とは?若手30代前半がチャンスをつかむ理由 – 文系が自動車メーカーに転職して苦労するブログ
よくある誤解への回答(FAQ)
Q. 商社のほうが比率は高いのでは?
A. その通り。ただし比率は母集団構成に依存。自動車は現業・販売・ローカルが巨大で分母が膨らむため“薄く”見えるだけ。絶対数の席は多いし、候補群に入れば“順番が回る”業界です。
Q. 文系でも大丈夫?
A. むしろ文系・間接の役割こそ恒常的。
「翻訳・整流・標準化」という人の仕事が多く、現場は文系の手を必要としているのが実態。
Q. 英語に自信がない
A. 仕事を回す基礎(安定運転・巻き込み・数字の合意)を持っていればTOEIC700前後でも充分戦える。拒否しない姿勢+現地で学ぶ気が最大の評価ポイント。
まとめ:巨大な分母を“恐れず、分解”しよう
- ランキングの実数は、自動車業界の駐在ポストの多さを裏づける
- 分母を正しく切り出すと、あなたのライバルは「連結○十万人」ではない
- ローテーション×欠員×増員の波に、意思表示と安定運転で乗る
- 文系・間接ほど、橋渡し役としての需要が恒常的
結論:
自動車メーカーは“従業員数が多いから狭き門”ではなく、拠点が多いから席が多い/候補群は思ったより小さい/間接は恒常的に必要。
だから、チャンスは広い。「海外OKです」の一言で、景色は変わります。
わたしが自動車メーカーに転職を決意したときのお話はこちら
自動車メーカーへ転職で地元を離れるべきか?判断基準・年収差・家族事情まで実体験で解説 – 文系が自動車メーカーに転職して苦労するブログ



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