車の納期が半年後?本気にしたらいけない理由を自動車メーカー社員が解説

自動車メーカー

おはようございました。あられです。

コロナ禍に突入して2年以上が経ちます。ありとあらゆる業界に影響を及ぼしています。自動車メーカー(以下OEM)も例外ではありません。

半導体不足から海外拠点や部品メーカーのロックダウンによる生産ラインストップと影響を多大にうけています。

これらの理由で各メーカー共に新車の納期が伸び続けています。試しにトヨタの新車納期一覧を見てみましょう。(一部抜粋、2022年6月3日時点の納期)

  • アクア 5-6ヵ月程度
  • アルファード 6ヵ月程度
  • ヴェルファイア 6ヵ月程度
  • ヴォクシー 5-6ヵ月程度
  • カローラ クロス 4-5ヵ月程度
  • ハイラックス 6ヵ月以上
  • ヤリス 4-5ヵ月程度

その他の車種も知りたい方はこちらから。

トヨタ 工場出荷目処一覧 | トヨタ自動車WEBサイト
トヨタ車の工場出荷目処一覧をご案内致します。東南アジアでのコロナウィルス影響拡大等に伴う部品供給不足により、多くの車種で生産遅れが発生しております。

ここに記載はないですが、ランドクルーザーは3年以上も納期が伸びています。3年あれば確実にマイチェンしますからね…

上記の出荷目処を見てしまうと「なんだ、半年待てば納車されるじゃないか」と思ってしまいますが、この工場出荷目処、まったく役に立ちません。

今回は理由と解説を自動車メーカー社員が解説したいと思います。

そもそも納期遅延の理由はコロナ禍だけじゃない?

OEMの稚拙な需要予測が原因の場合もある

有名なのはランドクルーザーです。納期が3年と意味わからないほど長いですが、これの原因は半導体ではありません。そもそも日本でこんなに売れることをOEMが予想できていなかったのが原因です。

ランドクルーザーは7割が中東市場、2割がその他海外、1割が日本向けを想定されています。そもそも1割しか割り当てられてないため、部品供給リスク云々というよりは生産能力が問題で受注残をかかえています。

これを解消するには二つのパターンがあります。

  1. ランドクルーザー生産ラインの能力を増強する。
  2. 他市場向けの車を減らし、日本向けの割合を増やす。

一番手っ取り早いのは1のパターンです。スズキのジムニーなんかは大量のバックオーダーに対して生産ラインを増やすことで納期短縮を目指しています。

しかしこれに踏み切るには精度の高い需要予測と大きな設備投資が必要になります。

ラインを増やす設備投資なんて何百億という費用がかかります。その投資に見合うだけの効果を回収できるか試算するためには精度の高い予測が必要です。(実際は鉛筆なめなめなことが多いですが)

2のパターンは簡単で費用もかからないような気がしますが、そんな簡単な話ではありません。そもそも1割しか日本向けを想定してないということは、生産ラインの制約で10%以上の日本向け車両を作れない可能性があります。日本向け車両は何かしら特別な装備があるため、10台に1台しか作れないということですね。10台に3台とかあると組み立てる人が追いつかずにラインが止まります。大事故の完成です。始末書ものです。

この1割という制約を取っ払うには設備投資ないし、人の増員が必要です。要するにヒトモノカネが必要になるということです。

そもそも中東向けの車を日本向けに変更することにメリットがない場合があります。乳糖向けってめちゃくちゃ装備満載でラグジュアリーな気がしませんか?それらを減らしてまで日本向け車両に変更するっていうのもあんまり現実的ではないのかもしれません。

この場合の出荷目処はある程度正しい

1割作れるというのが本当なら計算も簡単です。受注残÷生産可能台数/月であと何ヶ月で車を生産できるのかがわかります。単純な計算ですね。

たしかベゼルの特別仕様車も同じ現象で納期が1年くらいまで伸びてました。

けど1年とか2年後の状況なんてやっぱりあてにならないのでそんなに正確な出荷目処ではないかもしれません(笑)

コロナ禍が原因の場合

半導体不足による減産

言わずと知れた半導体が原因のパターンです。そもそも半導体とはなんぞやという人は下の記事を見るとわかりやすいです。

【簡単に】半導体とは?役割や使用例をわかりやすく解説!
電気を流す小さな導体である半導体は、宇宙船、カーコンピュータ、スマートフォン、医療機器、家電製品など、さまざまな機器に搭載され、世界中の企業や消費者に利用されています。そんな現代における「経済のエンジン」とも言われる半導体について、この記事ではわかりやすく解説します。

わかりやすいはいっても想像しにくいですよね笑 ICなんかも半導体の一つですね。

ありとあらゆる電子部品についてます。スイッチオンオフに必ず必要な部品ですから。

そもそもなぜコロナ禍で半導体がないかというと……長くなるので別記事で紹介します(笑)

ロックダウンが原因の場合

いろんな自動車部品メーカーは海外に拠点を持ってます。また自動車部品は階層別に分かれており、5次受けくらいまで下請けがあります。そのどこかの部品メーカーの拠点が海外にあって、その都市がロックダウンされると詰みです。1番下流にある完成車がモロに影響をうけます。

最新上海がロックダウンされてるおかげでめちゃくちゃ影響受けてます。中国のコロナが落ち着くだけで今の納期遅延もすこしは見直されると思います。

「物流網が戻るのは夏以降か」上海ロックダウン影響、5月の国内新車販売18・1%減
【読売新聞】 5月の国内新車販売台数は前年同月比18・1%減の26万1433台で、11か月連続のマイナスとなった。半導体不足に加え、中国・上海のロックダウン(都市封鎖)で部品供給が停滞したことが響き、月間の販売台数としては緊急事態宣

上海が死ぬと物流が死にます。とほほ

このロックダウンはいつ解除できるのかもわからないため計画が立てられません。いつロックダウンするのかもわかりませんからね。非常に厄介なところです。

完成車メーカーが置かれてる状況を理解しよう

なぜ納期遅延が起きているのかを説明してみました。

こっからなぜ出荷目処が当てにならない理由を説明したかったのですが、長くなったので次の記事で説明します。

コロナ禍に振り回されるOEMの仕事ぶりも紹介できればと思います。

息子(0歳)
息子(0歳)

えんぴつなめなめならぼくにもできそうだッピ

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