【生産管理の転職】部品メーカーと自動車メーカーの違いを現役が解説

雑記

おはようございました。アラレです。
文系大卒 → 独立系部品メーカー → 自動車メーカー(以下、OEM)に転職して、もう5年以上がたちました。いろいろあって複数社OEMを経験して今は海外駐在中です。

もう生産管理を10年以上やっていますが、現職と前職では業務内容はかなり違います。
「生産管理なら同じでしょ?」
転職前の自分もそう思ってました。けど結論、まったくのべつものです。

部品メーカーの生産管理は“総合格闘技”のなんでもやさん。
OEMの生産管理は“分業されたプロスポーツ”。

今日はこの違いを、現場での体感に寄せて整理します。転職を考えている人の「入社後ギャップ防止」に役立てばうれしいです。

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同じ“生産管理”でも、部品と自動車メーカーでの違いは?

部品メーカーの生産管理は「自社工場と客先(OEM)をつなぐ仕事」です。
一方でOEM生産管理は「会社全体の生産を動かす仕事」ですが、その代わり仕事が細かく切り分けられています。

ここが最初の落とし穴で、転職した瞬間にこう思います。

「え、私が担当するのこの範囲だけ?」
「前職だとこれ全部ひとりでやってたんだけど?」

どっちが上とか下ではなく、業務の幅と深さが違うだけです。

OEM生管は縦割り 生産管理の中に“別会社レベルの部署”が並んでいる

OEMの生産管理は、ひとことで言えば縦割りです。
「生産管理」という看板の下に、だいたいこんな役割が分かれて存在します。

・調達(部品を揃える側。供給制約があるとここが主役)
・物流(運ぶ側。最後の砦)
・生産計画(いつ・何台作るかを決める)
・進度管理(計画通り流れているかを見る)
・予算管理(工場や部門のコスト管理)
・人員管理(要員配置や稼働の管理)
・原単位管理(材料・工数の基準値を守る)
・試作品の日程管理(量産と別世界のスケジュール戦)

同じ「生産管理」でも、役割が違うと見ている世界がまったく違います。

・「今日は何台作るか」を決める人
・「今日の車の順番」を決める人
・「今日足りない部品」を潰す人
・「進捗が遅れている工程」を追い込む人

全員、同じラインを見ているのに、見ている指標が違う。
だから会議が成立します。みんな違う数字を持ち寄って殴り合うからです。

OEMの良いところと、しんどいところ

縦割りの良いところは、責任範囲が明確なことです。

・自分の担当領域に集中できる
・専門性がつきやすい
・仕事の切り分けがはっきりしている

一方しんどいのは、「守備範囲が狭いのに、影響範囲は広い」ことです。

自分が触れるのは一部分なのに、ミスったら全体が止まる。
そして止まった瞬間だけ、急に主役になります。

普段は透明。止めたら有名人。
生産管理は、そういう職業です。

部品生管は守備範囲が広い いい意味で“なんでも屋”、悪い意味で“なんでも屋”

部品メーカーの生産管理は、守備範囲がとにかく広いです。
ざっくり言うと、全部やります。

・生産計画
・出荷計画
・在庫管理
・量産品/試作品問わず対応
・客先の予定変動に合わせて段取り変更
・納期遅れの火消し
・工程トラブルの吸収

試作品の話が来れば技術と話すし、
トラブルが起きれば品質管理とバトルするし、
部品が足りなければ購買と戦います。

戦いだらけです。たまに味方もいますが基本は戦場です。

部品生管の良いところと、しんどいところ

部品生管の良いところは「一気通貫で回している実感」です。

・自分が組んだ計画がそのまま工場を動かす
・在庫や出荷まで含めて全体が見える
・社内外の関係者を巻き込む力がつく

要するに、鍛えられます。勝手に。

しんどいところ 「全部自分のせいにされやすい」

・客先が変える
・現場が止まる
・購買が取れない
・物流が詰まる
・品質が燃える

原因がどこでも、最終的に生産管理のところに戻ってきます。
生産管理は“寄せ鍋の受け皿”なので、入ってくる具材を選べません。

結局どっちが向いてる?性格でだいぶ分かれる

向いているタイプの違いを正直に書くとこうです。

部品生管が向きやすい人
・現場が好きで、ドタバタも含めて仕事だと思える
・関係者と話して段取りをつけるのが苦にならない
・「とりあえず今止めろ」を楽しめる
・全体を見て回すのが好き

OEM生管が向きやすい人
・数字やロジックで整理するのが好き
・自分の領域を深堀りして専門性を上げたい
・部署間調整や会議がそこまで苦じゃない
・「全体最適の中の担当」を割り切れる

どっちも優劣じゃない

ただし転職でミスる人はだいたい「期待していた仕事と違った」人です。
転職前に知っておくべき“最大のギャップ”

部品生管からOEM生管に行って一番ギャップになるのは、

「守備範囲が狭いのに、責任は重い」

これです。

部品生管は守備範囲が広くて大変だけど、「自分が手を動かせる」範囲も広い。
OEM生管は守備範囲が狭いのに、「関係者に動いてもらう」割合が増える。

つまり、仕事の中心が

・自分で回す
から
・人を動かして回す

にシフトします。

ここを面白いと感じるか、ストレスと感じるかで、向き不向きが決まります。

まとめ:別競技だけど、両方経験すると強い

部品生管とOEM生管は、同じ生産管理でも別物です。

・OEM生管は縦割りで専門職化。担当範囲は狭いが影響は大きい
・部品生管は守備範囲が広い総合格闘技。戦いは多いが鍛えられる
・転職で一番のギャップは「自分で回す」から「人を動かして回す」への変化

どちらが正解というより、自分の性格と価値観に合う方が正解です。

そして正直、両方経験するとめちゃくちゃ強いです。
部品側の泥臭さを知っている人は、OEM側で現場が詰んだときに「何が本当に詰まってるか」を読めます。
OEM側の全体像を知っている人は、部品側で「客先がなぜそう言うのか」を読めます。

“同じ生産管理”だと思って飛び込むと火傷しますが、
違いを理解して選ぶなら、転職としてはかなりアリなルートです。
なんてったって待遇が違いますから!

待遇についてはこちらにまとめています。

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