おはようございました。アラレです。
文系大卒 → 独立系部品メーカー → 自動車メーカー(以下、OEM)に転職して、今は海外駐在をしています。
「文系で部品メーカーからOEMにどうやって転職したの?」
ぶっちゃけると部品メーカーから自動車メーカーに転職してくる人はめちゃくちゃいっぱいいます。なんなら多数派です。ただし文系となるとその数はかなり少なくなります。
狭き門と言われる自動車メーカーにの文系就職、しかししっかりとした職歴さえあれば内定も難しくありません。
もう5年近く前になりますが、あられが自動車メーカーに転職したときの話を紹介していきます。
プロフィールと当時のスペック
まずは当時の自分のスペックから。
- 年齢:20代後半
- 学歴:上位私立大学の文系
- 職歴:独立系部品メーカーで生産管理(計画作成がメイン業務)
- 英語:TOEIC700点台(読み書きはなんとか、会話は怪しい)
- IT:Excel中級(VLOOKUP/ピボット)、Accessは触り始め
- 評価:社内では「ちゃんとやってる普通〜やや良い人※上司が超絶できる人だったのが幸いした」くらい
要するに、
「超エリートではないけれど、普通にまじめに働いてきた中堅どころ」
みたいなポジションでした。
前職に対する不満は給与と業績くらいで人間関係は良好、しごともまぁまぁ楽しかったです。
しかし問題は給与、いや、100歩譲って給与は我慢できても業績と将来性に疑問を持ってしまったのが原因です。
当時は部品メーカー(Tier2)だったので、ここから
「完成車メーカーに行きたいな…でも本当に行けるのか?まぁでもTier1でも今より良いならいいか」
とモヤモヤし始めたところがスタートです。
なぜ部品メーカーからさらに上流である完成車メーカー目指したのか
理由はきれいごとと本音の両方があります。
きれいごと側:
- 車をつくる“決定権”がOEM側にある
- 部品メーカーだと「決まったことをどう守るか」が中心になりがち
- 上流の企画・台数・工程変更の判断にもう少し近づきたかった
本音側:
- 同年代の友人と年収を比較すると、地味に差がついてきた
→これがめちゃくちゃでかい 特にボーナス - 部品メーカーだと、これ以上の伸びはそこまで期待できない
- どうせ忙しいなら、もう少し“看板が強い会社”で働きたかった
あと、個人的に一番大きかったのは、
「このまま40歳になったとき、自分はどこにいるのか?」
を想像したときに、
なんとなく“閉じた将来”が見えてしまったことです。
というのも当時中長期計画を作る仕事をしていて予算台数から売買差益を試算する仕事をしていました。
新人の頃はマネジメントがいろんな数字をこねくり回して見栄えの良い数字で報告されたものをみるだけなのであまり将来に対しての違和感を感じませんでした。
しかし中堅にもなると自分で生の数字で試算するため、いろいろ見えちゃいけないところが見えてきてしまいました。
- 中堅社員として仕事内容も責任も増してきてまぁまぁ楽しい
- 新卒入社なので同期の仲が良い 働きやすい
- 給与レンジもだいたい読めている
前職の環境はそれはそれで安定していて悪くないのですが、
「一回ぐらいOEM側から景色を見てみたい」という欲が勝ちました。
転職活動スタート:まずは市場を知るところから
いきなり応募する勇気はなかったので、
最初の1〜2ヶ月はひたすら情報収集に使いました。
やったことはこんな感じです。
- 転職サイトで「自動車メーカー 生産管理」「完成車 生産管理」とかで検索
- 転職口コミサイトで年収レンジと残業時間をざっくり確認
- 自動車業界のニュースサイトをブックマークして“それっぽい人”になる
正直、この時期はまだ
「自動車メーカーって、総合職がふんわり全部やってるんでしょ?」
くらいの理解でした。
実際には、
- 生産管理の中でも「日次の順序」「月次の計画」「需給調整」「海外工場との調整」…
- 調達の中でも「原価企画」「量産購買」「グローバル調達」…
みたいに、仕事が想像以上に縦割りになっていることを
後から思い知ることになります。
使ったエージェント:総合系と“自動車業界専門”系
ここからエージェント登録フェーズです。
- 総合エージェントを1社
- 自動車業界色の強いところを2社
に登録しました。
総合エージェントの印象
- 案件の数は多い
- 自動車メーカーの名前も普通に出てくる
- ただし担当者が自動車業界に詳しいかどうかは完全に“ガチャ”
生産管理の話をしているのに、
「工場の事務みたいな感じですか?」
と聞かれたときは、
あ、この人に深い話を期待してはいけないな、と悟りました。
自動車業界専門系(自動車業界の転職エージェント・求人サイト【オートモーティブ・ジョブズ(AJ)】)の転職エージェントにも登録しました。
- 完成車・ティア1・ディーラーなど“自動車だらけ”でテンションは上がる
- ただしメインはやはりエンジニア職
- 文系の生産管理・調達・物流案件は「あるにはあるが、かなり少ない」
実際に言われた一言で覚えているのは、
「生産管理・調達で、今すぐご紹介できる求人は正直あまりありません…
タイミングが合えば、という感じですね」
というものです。
このあたりが、
「文系が自動車業界に転職しようとすると専門系エージェントがない問題」
を体感した瞬間でした。
ここで登場するのが実際にかなりお世話になったメイテックネクストです。
モノづくりエンジニア専門としか書いていなかったので期待もせず当時は軽い気持ちで応募しました。
最初の一歩 エージェントに職務経歴書を出そう
このあたりから、転職活動モードが本格化します。
一番大きかったのは、
「いま自分がやっている仕事を、OEMの言葉に翻訳する」
ことでした。
部品メーカー時代の自分の仕事内容を、そのまま書くとこうなります。
- 顧客の要求に基づいた自社工場の生産計画の立案
- 取引先との納期調整
- 社内関係部署との生産調整
- 在庫管理 など
これをOEMに寄せるときは、
もう少し視点を変えます。
- 「月◯◯万個/車種〇車分を担当し、在庫を◯日分にコントロール」
- 「日次〜週次の計画変更に対し、残業時間を◯%以内に抑える調整を実施」
- 「海外工場向け輸出分のスケジューリングを担当」
など、“数字+スケール+役割”で書き直していきました。
この作業をちゃんとやったことで、
- エージェントに「この人はどのポジションが合いそうか」をイメージしてもらいやすくなり
- OEM側から見ても「うちの生産管理と同じテーブルで話せそう」と判断してもらいやすくなった
気がします。
書類選考〜1次面接:聞かれたことと、やってよかった準備
応募したのは、
完成車メーカー2社+大手サプライヤー3社。
1社を除いて書類はすべて通りました。
ここもエージェントを使う強みになります。なんでも応募させるのではなく、事前にエージェントと吟味して通りそうなところだけ応募するので無駄うちがありません。
ここからが本番でした。
1次面接でよく聞かれたこと
- なぜ部品メーカーからOEMに行きたいのか
- 今の仕事の“1日の流れ”と“1ヶ月の流れ”
- 一番大変だったトラブルは何か?どう対応したか?
- 生産計画が大きく変わったとき、まず誰と何を確認するか
- 今の会社で、あなたがいて良かったと思う点は?
ここでやってよかった準備は、
- 「業務フロー」をA4一枚で書き出したこと
- 大変だった案件を「数字付きで3つ」ストックしておいたこと
- 「OEMに行きたい理由」を、年収以外の言葉でちゃんと持っておいたこと
特に最後のやつは重要で、
「年収を上げたいから」「ブランド力があるから」
だけだと、正直どこの会社でもいい話になってしまいます。
僕の場合は、
- 部品側から見て「なぜこういう計画になるのか」をずっと疑問に思っていた
- その意思決定のロジックや、販売側とのやり取りを理解したい
- 生産管理でもう一段上流に行きたい
という話をしました。
これがどこまで効いたかは分かりませんが、
少なくとも面接官の表情は柔らかくなっていたので、
あながち間違ってはいなかったと思います。
最終面接〜オファー:年収はどのくらい変わるのか!
最終面接では、
「人柄+これまでのキャリアの整合性」
を確認される感じでした。
- 今後どんなキャリアを描いているか
- OEMに来たあと、どの部署・どんなポジションを目指したいか
- 将来、マネジメントと専門職どちらに興味があるか
など、急に“人生相談”っぽくなります。
ここで気をつけたのは、
「御社でずっと働きたいです!」ではなく、
「この業界でこういう価値を出せる人間になりたい。その土台として御社を選びたい」
くらいの温度感にしたことです。
内定後のオファー
年収レンジだけ書くと、
- 部品メーカー時代:年収400万(少ないような少なくないような)
- OEM内定時 :年収500万~580万(ふり幅は残業代による)
くらいのオファー感でした。
「爆上がり」ではありませんが、
- ベースの基本給が少し厚くなった
- 賞与の“素点”が上がった
- 福利厚生(住宅・子ども手当など)を考えると、トータルではかなり差がつく
という印象です。
ここでようやく、
「あ、これなら転職しても良さそうだな」
と腹落ちしました。
実際に入ってみて感じたギャップ
いいことも悪いことも含めて、印象的だったギャップをざっくり。
- 業務が想像以上に縦割り
部品メーカー時代は、
生産計画・在庫・出荷・トラブル対応を
わりと一人で幅広く見ていました。
OEMに入ると、
- 日次の順序を決める人
- 月次の台数を決める人
- 世界全体の需給バランスを見る人
- 部品サプライヤーとの調整をする人
が分かれていて、
自分の守備範囲はむしろ狭くなった感覚がありました。
- そのわりに責任は重い
決めているのは“数字”だけなのに、
その数字ひとつでラインが止まったり、販売が詰まったりします。
やりがいがある…と言えばあるのですが、
少なくとも「ドラマチックに楽しい仕事」ではありません。
- 年収カーブは明らかに違う
数年働くと、同年代の部品メーカー時代の同僚と
じわじわ差がついていくのを感じます。
特にボーナスの厚みと、家族向けの手当の影響は大きいです。
福利厚生や年収についてはこちらにくるっとまとめています。
部品→OEM転職のコツ(今振り返って思うこと)
最後に、当時の自分にアドバイスするつもりで
「こうしとくと良かったな」というポイントを5つにまとめます。
- 「なぜOEMに行きたいか」を年収以外の言葉で持つ
→ 面接で一番見られるのはここ。
“上流に行きたい理由”を自分の言葉で用意しておく。 - 今の仕事を“OEM語”に翻訳してから動く
→ 業務の規模感・数字・関わっている範囲を
生産管理/調達/物流のどの箱に入るか意識して整理する。 - エージェントは1社に絞らない
→ 総合エージェントだけだと業界理解が浅い。
自動車業界色のあるところや、モノづくり系を1つ混ぜておくと選択肢が広がる。 - 「受かる会社」より「続けられる会社」を軸に選ぶ
→ 看板だけで選ぶと、3年後につらくなる。
勤務地・職種・カルチャーの3つは最低限チェック。 - 転職時期は“30歳を超える前後”を意識する
→ 20代後半〜30代前半は、
「経験+将来性」を両方買ってもらえるボーナスタイム。
ここを逃すと難易度は一気に上がる。
まとめ:ドラマチックではないけれど、やってよかった転職
派手なサクセスストーリーではありませんが、
文系として「部品メーカー → OEM」への転職は
個人的にはやってよかった選択です。
- 仕事内容は想像以上に地味で縦割り
- ミスると一瞬で地獄を見る
- でも、給与レンジと将来の選択肢は明らかに増えた
そんな、静かだけど確かなアップデートでした。
この実録が、
「文系で部品メーカーからOEMを狙ってみたい」
という人のイメージ作りのヒントになればうれしいです。
部品メーカーから転職した記事をこちらにまとめています。
死ぬほど手厚いフォローをしてくれた転職エージェントはこちら。
登録して話を聞くだけでもためになります。非常に誠実なひとたちでした。












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