おはようございました。アラレです。
部品メーカーから自動車メーカー(以下、OEM)に転職してもう5年以上がたちました。いろいろあって複数社OEMを経験して、今は海外駐在中です。
転職相談を受けると、ほぼ全員が最初に聞いてくるのがこれです。
「自分の学歴・年齢・職歴で、自動車メーカーって現実的にいけるんですか?」
今日はここをちゃんと分解して、
**学歴・年齢・職種別の“現実ライン”**を整理しておきます。
自動車メーカー転職の“難易度”は、ほぼこの3つで決まります。
- 軸①:年齢(20代/30前半/30後半〜)
- 軸②:職歴(同業・同職種か/業界・職種どれだけズレるか)
- 軸③:学歴(新卒では重い、中途ではだいぶ軽くなる)
結論から言うと、
- 新卒で文系がOEMを狙う → 難易度はかなり高め
- 中途で「自動車業界×同じ職種」で狙う → 思っているより戦える
- 30代後半以降 → 完全未経験はほぼ無理。経験の“変換”勝負
というイメージです。
ここから、もう少し具体的に見ていきます。
自動車メーカー転職で「学歴」はどこまで効くか
まず、みんなが一番気にする学歴の話から。
新卒採用では、正直かなり効きます。
いわゆる「◯◯大以上がほとんど」という世界です。
理系枠も文系枠も、学歴フィルタはそれなりにあります。
↓の記事でもまとめています。
ただし、中途採用になると話が変わります。
- 「どの大学か」よりも
- 「どの業界で」「どんな仕事をして」「どんな実績を出したか」
のほうが、圧倒的に重要になります。
もちろん、学歴が高いに越したことはありません。
が、中途では“学歴のボーナス”より“職歴のミスマッチ”のほうが致命傷です。
よくある勘違いは、
「自分は地方国公立だから」「MARCH未満だからOEMは無理だろう」
と、学歴だけで諦めてしまうパターン。
実際には、
- 自動車業界(部品メーカーなど)出身
- 近い職種(生産管理・需給・調達・物流・営業など)の経験あり
であれば、学歴がど真ん中じゃなくても普通に声はかかります。
逆にいうと、
東大・京大出ていても「完全に畑違い+実績が言語化できてない」と、普通に書類で落ちます。
年齢×キャリア①:20代(第二新卒〜20代後半)
20代は、正直なんでもしやすいボーナスタイムです。
- 第二新卒(入社〜3年くらい)
- 20代中盤〜後半
あたりは、
- 「業界未経験だけどポテンシャル採用」
- 「同業界で、少しレベルを上げる転職」
の両方がまだ現実的です。
特に強いのはこのパターンです。
- 部品メーカーの生産管理・調達・物流 → OEMの同ポジション
- 商社や物流会社 → OEMのロジ系・需給系
- IT系の業務改善経験 → OEMの生産管理・企画系
20代のうちは、多少遠回りしても「伸びしろ込み」で評価してもらえます。
面接でも、
- 「ポテンシャル枠として育てる」
- 「この人に投資して5〜10年で元を取る」
という目線で見てもらえるので、
多少経験が足りなくても巻き返しがききます。
年齢×キャリア②:30代前半(アラサー)は一番“おいしい”
個人的には、30歳前後〜30代前半がいちばんおいしいゾーンだと思っています。
理由はシンプルで、
- 現職である程度の実績が溜まっている
- 係長候補・駐在候補として「将来性込み」で採れる
- けれど年齢的に「まだ固まりきっていない」
からです。
たとえば、小規模OEMの生産管理部に100人いるとします。
この規模でも、年に3〜4人くらいは中途採用で人が入ってきます。
その多くが アラサー(28〜34歳くらい) です。
日本には完成車OEMがざっくり8社前後あります。
部門によって差はありますが、
「生産管理・調達・物流・品質・営業企画…」と考えると、
年間トータルで見れば、“文系ポジションで数十人レベル” の椅子は存在している
という感覚です。
新卒のときは、
文系大学生が数千人単位で、OEM文系枠の「数十人」を奪い合います。
倍率だけ見れば数十〜百倍とか、そんな世界です。
一方で、中途のアラサー枠になると、
- 応募数自体が新卒ほど多くない
- 「自動車業界×近い職種」の人がそこまでゴロゴロいない
- そもそも本気でメーカー転職を狙う人が少ない
ので、きちんと準備した人から順番に決まっていく印象があります。
このゾーンで一番もったいないのは、
「30歳を過ぎたし、もう転職とか無理ですよね?」
と、自分で勝手に難易度MAXにしてしまうことです。
実際には、30歳手前〜30代前半が一番“将来性を買ってもらいやすい”タイミングです。
年齢×キャリア③:30代後半〜 ここからは「完全未経験」はほぼNG
30代後半〜になると、
さすがに「ポテンシャル枠」では見てもらえなくなります。
- 完全未経験で生産管理に入りたい
- 畑違いの業界から、OEMの花形ポジションに行きたい
このあたりは、現実的にはかなり厳しいです。
30代後半以降は、
- 「今の職種をそのまま横スライド」
- 「近いグレード・年収レンジでの乗り換え」
が基本戦略になります。
例えば、
- 部品メーカーの生産管理 → OEMの生産管理・需給・ロジ系
- 商社の自動車担当 → OEMの海外営業・需給系
- コンサルでOEM案件をやっていた → OEM側の企画・経営企画系
こういう、“経験の延長線上にあるポジション”ならまだ戦えます。
逆にいうと、
「今までの経験をどう“変換”して持っていくか」がすべてです。
文系がやらかしがちな“難易度の誤解”3つ
文系の相談で多い“勘違い”はだいたいこの3つです。
ひとつめは、
「理系・高学歴の世界だから、自分みたいな文系は無理」
という思い込み。
たしかに、開発・設計・生産技術のようなガチ理系職種は、
文系未経験からの30代転職はほぼ不可能です。
でも、文系が入るのは主に
- 生産管理
- 調達・購買
- 物流・SCM
- 営業・営業企画・商品企画
- 経理・人事・総務などの管理部門
なので、ここでは
- 業界経験
- 数字の扱い
- プロジェクト経験
のほうが効きます。
ふたつめは、
「30代後半からでも、未経験職種でワンチャン狙えるでしょ?」
という希望的観測。
これは、正直かなり厳しいです。
30代後半以降は「即戦力としてどこまで使えるか」を見られるので、
完全未経験職種にチャレンジする余地はほぼありません。
みっつめは、
「とりあえずOEMに入ってから、やりたい職種に異動すればいいか」
という甘い見積もり。
大手ほど、部署異動は簡単ではありません。
異動できるケースもありますが、
- 評価
- タイミング
- 上司の理解
など条件が多く、“入ってから考える”戦略はだいたい詰みます。
「同業界×同職種」だと、難易度はかなり下がる
ここまで少し厳しめの話をしてきましたが、
ポジションさえ間違えなければ、自動車メーカー転職の難易度はそこまで高くありません。
特に、
- 自動車業界(部品メーカーなど)出身
- 今の仕事がOEMの文系ポジションと近い
この条件が揃っていると、一気に現実的になります。
自動車業界×同じ職種での転職なら、難易度はかなり下がります。
あとは、うまいことマッチした案件をエージェントが提案してくれるかがカギです。
ここで大事なのは、
- 自分の職歴をちゃんと棚卸しして
- 「OEMだと、どのポジションと相性がいいか」を言語化しておく
ことです。
エージェントに丸投げすると、
- とりあえず年収が上がりそうな求人
- とりあえず通りそうな求人
を出されがちです。
でも、自分の中で
「生産管理の中でも、◯◯寄りの仕事が得意」
「調達なら、コストネタよりもサプライチェーン調整のほうが強い」
くらいまで整理しておくと、
“自分に合う案件”を提案してもらいやすくなります。
新卒と中途では「難易度の中身」がまったく違う
もう一度整理すると、
新卒と中途で「難易度の中身」がまったく違います。
新卒:
- 学歴フィルタが強い
- 文系枠の人数そのものが少ない
- “将来性”だけで数千人をさばく世界
中途:
- 学歴より「職歴×年齢」のほうが重い
- 文系ポジションの椅子が、実は毎年ちょこちょこ空いている
- 特にアラサーは「将来性+即戦力」のバランスがいい
新卒で文系OEMを逃した人でも、
- 部品メーカーや他メーカーで実績を積む
- 20代後半〜30代前半で“同じ職種×自動車業界”に寄せていく
というルートなら、全然戦えます。
まとめ:自分の“今”から見た「現実的なライン」を決めよう
自動車メーカー転職の難易度は、
- 年齢
- 職歴(業界×職種)
- 学歴
の掛け算で決まります。
ただし、
「難易度が高い/低い」よりも、「どこなら現実的に狙えるか」を決めることのほうが大事です。
- 20代なら:
少し背伸びしてもいい。業界チェンジも選択肢に入る。 - 30代前半なら:
自動車業界×同職種で、将来性も買ってもらえる“一番おいしいゾーン”。 - 30代後半〜なら:
完全未経験職種は切り捨てて、「経験をどう変換するか」に全振りする。
そして、どのゾーンでも共通しているのは、
「今の仕事を“数字とエピソード”で語れるようにしておくこと」
です。
難易度を気にしすぎて何も動かないより、
まずは**「自分の年齢・職歴なら、このラインなら現実的」**というところを決めて、
そこに向けて職務経歴書と面接準備を始めたほうが、結果として近道になります。
自動車メーカーへの転職を考えている方は、別の記事で詳しくまとめているので
よければそちらもあわせて読んでみてください。





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